たった一晩でたくさんの夢を見た
憧れと非現実と崩壊する世界
古びた家、優しく微笑むひと、背中の羽、君

( それは夢だったって思いたくはないの )



黒 の 向 こ う の 楽 園



青い竜と緑の竜にそれぞれ乗ったふたりは
空から世界の終わりと始まりを見た
一瞬で吹き飛ぶ自然と構築されてゆく立体
生まれ変わる大陸、球体

あっという間の出来事
息を呑む暇もなく、目の前に起きた


新しく綺麗になった星は誰のものでもないみたいに
静かに風を纏う
静寂と生暖かい風


この星にはふたり以外誰もいなくなった
君と僕のふたりだけ
私と貴方のふたりだけ
空の上でふたりは顔を見合わせる
まるでふたりのためにすべてなくなってしまったような
奇跡のような星

地上に降り立ったふたりは抱き合う
なんて素敵なことだろう!
なんて幸せなことだろう!
ふたりにはそんな気持ちばかりしかなくて
これが夢だと疑わなかった

ぼやけてゆく視界の中で君に手を伸ばした

世界が、終わった




無理矢理灰色に引き戻されたのはまだ私が救われないからだと
瞼に焼き付いてしまったのは私が哀れだからだと

今、耳鳴りのするような夕方、奇跡の余韻にひたる



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