蜃気楼



君の掌の上で転がされた僕は息を殺していて
灰色の瞼の向こう側には小さな光があって
幕を開ければ一面に広がる白い大地があって
幸せの先に不幸せが見える

歩き回ったところで水の在り処など見つけられるわけもなく


光を宿せないでいる僕は幻を手に入れ満足そうに笑む
弱くあることを望んだ
強くなんてなりたくなかった

消えかけた視界は歪んで水に溶けてゆくように(消えないで)


あまりにも遠くてきっと悲しくとも涙すら出ない
乾いた風が髪を流す間中立ち竦み(生温い液体は願っても頬を伝わなくて)



消えるのならどうか 僕も連れて行って



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