ひかり 外を眺めたくて引戸を開くと 勝ち誇ったように咲いた菜の花の列と その匂いが鼻につーんときてすぐに閉めた 早朝の雨とは裏腹に 青く光る空が水溜り越しに見えた 桜模様の湯のみには冷めたお茶 水道の蛇口から流れ出る水 スライドのようにゆっくりと流れる視界と時間 自分の世界を確立したみたいに きらめく景色と淀んだ内側 家の外はいつも光って見えていたはずなのに 今では霧がかったくらいじゃ済まされないほど暗く 冷たい 眠る前の声は否応なしに波紋を広げていて とっさの栓も意味がない ぐるぐると回る黒色 早送りみたいに流れる過去 誰かの声 目を覚まして光を見たのはいつだっただろう |